日本人の家を訪ねる

手土産

それから、日本人が知り合いの家を訪ねたといたします。その時に、よくお土産を持っていきます。そのお土産を差し出すときのあいさつが、また変わっております。「これはまことにつまらないものですが」といって差し出します。アメリカの人などは、はじめてこの言葉を聞きますと、「つまらないものを持ってこないで、もっといいものを持ってくればいいではないか」と思うようであります。

ではなぜ日本人は、そのような場合に、「つまらないものを」というのでしょうか。日本人は、ほかの人から何か好意を受ける場合、そのことをいつまでも覚えていて、将来それに対して報いをしなければいけない、と思っております。日本人は、そういうことから、その前に何か好意を受けた場合、その次に逢った時にはそのことを必ず話題にします。そうして、「先日はありがとうございました」というようなお礼の言葉を述べます。もしそれを忘れておりますと、

「恩知らず」と言われます。そうしてまた、お礼の言葉を述べるだけではなくてその好意に相当するお返しをしようと思います。